Nihilismus

I love mankind...It's people I can't stand!!

「K-POPアイドル」を目指すということ

この記事をシェアする

実はこのテーマについては、数年前から書きたかったんですよね。

 

私は仕事などを通じて、たくさんの「K-POPアイドルになりたい!」という日本人の子達に出逢い、話してきました。

K-POP人気が日本の若者の間で増すにつれて、モデルや歌手のように憧れの職業として“K-POPアイドル”が並ぶことも当たり前になってきたように日々感じています。

韓国でデビューする日本人も増え、一日本人として、一K-POPファンとして純粋に嬉しい。

 

私が出逢ったK-POPアイドルを目指す日本人の中には、

「三大事務所(SM、YG、JYP)しか目指したくない」

「私はSMは向かないけど、YG、JYPは受けてみたい」

みたいな話をする子も少なくありませんでした。

 

厳しい芸能界を目指すならそれぐらい強気、たとえそれがビッグマウスだとしても必要なことだと思います。成功した人たちの姿や話を聞いていると、驚くほどのハングリー精神も必要だなと常々感じているので。

 

ただ、そんな発言をしながらもK-POPアイドルを目指すことを、まるで“学校受験”や“定期テスト”のように考えている人が多かったというのが正直な印象でした。

学校のテストのような感覚で、“少し何かを我慢して頑張れば”K-POPアイドルになれる。三大事務所は“自分の実力よりちょっと上の学校”を受験するかのような感覚。

 

「韓国でデビューしたいです。本気です」と言いながら、スクールのレッスン時間以外で個人練習に打ち込むわけでもなく。本気で頑張る姿勢を目にしたら、こちらも全力でサポートしようと思えるけど、言動が一致してないとどうしようもない。そんな事も珍しくありませんでした。

 

今、韓国でデビューしている人たちは文字通り血のにじむような努力をした方々ばかりのはずです。デビュー出来たとしても、そこはゴールではなくスポットライトを浴びるのも、浴び続けるのも本当に一握り。想像を絶する厳しい現実が待っています。

そういった事も理解していない子も結構多くて、「現実をしっかり伝えるべきか」「でも夢を壊したくない」の間で悩んだこともあります。

 

そう、決して「諦めろ」とか「そんな夢叶わない」って言いたい訳じゃないんです。

ただ、「本気で目指している」と言う割に、その気持ちが行動となって見えてこない、現実を知らない、自分から学ぼうとしない…といった子が多くて。それと同じ熱量のサポートしか出来なかったです。

 

私は韓国事務所のオーディションに同席したことが何度かあるのですが、オーディションの場面でも残念に思うことが毎回いくつかあります。

緊張するのはわかります。初めてだともちろん緊張するし、何度受けても緊張する。オーディションとは緊張するものです。

 

ただ、自分の名前ぐらいははっきり言って欲しい。今、この記事を読んでいる方はおそらく韓国の芸能事務所志望だと思うのですが、名前や年齢ぐらいは自分が受ける事務所の国の言語で用意して欲しい

こういう風に書くと「韓国語が出来ないと合格するのは難しいですか?」という声が聞こえてきそうだけど、その質問をしている間に韓国語での自己紹介を調べることも出来るし、韓国語の単語をひとつやふたつ覚えられる。そういう事なんです。「他人」や「みんな」の動きを気にしている限り、「あなた」は何一つ伸びない。

 

芸能界という業界は、この世に様々な職業が存在する中で最も「自分自身」が売り物になる業界だと思っています。自分自身が売り物だからこそ、「あなた」に一番時間をかけて下さい。労力をかけて下さい。もちろん韓国語は出来るに越したことは無いです。

 

あと感じた事はキャラがしっかりしている子は強いなということ。「ロールモデル」として憧れのアイドルを挙げている子は多いかと思います。ロールモデルを挙げたからといって、それがどのようにプラスに働くのか私にはわかりませんが、決して誰かを真似ようとしないで欲しい。既に存在する人物を真似しても何一つ新しくありません。「あなた」だけが持っている何かを売り込まないといけないのです。

 

韓国のアイドルは本当にセルフプロデュースが上手です。中には事務所が細かく決めて強くコントロールしている所もありますが、基本的にみんな自分の魅力をよくわかっています。歌やダンスの技術的な魅力、「自分はこの角度が一番良い」など外見的な魅力、内面的な魅力などなど。もはや演技の域ではと思ってしまうこともある程。現実と“演じる自分”のギャップに苦しむアイドルが多いことも事実ですが、自分自身を知ることは良いことだと思っています。何よりの強みに出来る。

 

これも一種の“日本らしさ”と言うべきなのか…どうしても日本では自分自身について謙遜しがちなのですが、韓国でアイドルになることを目指す子達にはそんなものは捨てて、どんどん自分自身の良い所と向き合って押し出して行って欲しい。自分はどういう所が魅力なのか、どういう事や物が向いているのか。「あなた」に一番興味関心を持てるのは「あなた」しかいません。

 

ここまで色々なことをダラダラと書いてきましたが、とにかく真正面から自分と向き合い死に物狂いで練習するのみだと思います。そしてアイドルを始めとする様々な文化芸術に触れて、学んで欲しい。「芸能」は決してアイドルだけではありません。そしてトップアイドルだけがアイドルではありません。色々なアイドルに触れて欲しい。そうすることで、あなただけの強みも自然と見えてくるはずです。カードは多ければ多いほど有利。

 

最後に全てをぶち壊すようなことも書いておきますが、ここまでの事を全く必要としない天才的な人物や運の良い人物が時には存在します。それが芸能界というものです。完璧な実力を持っていても運やタイミングに恵まれず消えていく。

 

「どのようにしてメンバーを集めたのか?」という質問に、芸能事務所の社長は「全員紹介だよ」と答えました。リーダーとリーダーの同級生だったAくん、Aくんの知り合いだったBくん、Cくん…といった感じで作られたアイドルグループも存在してしまうのです。だ、だってほらアルバイトも「友達の紹介」なら面接も形だけだったりしますもんね!一番信用できるやつだもん。

 

…あなたが足を踏み入れようとしているのは、そのような世界だということを改めて意識して欲しいなと思います。

 

皆さんの行く先に明るい未来が待っていますように。