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K-POPの衣装における「参考」と「パクリ」を考える

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K-POPアイドルの衣装を見ていると、「ああ元ネタは○○の△△だな」とわかってしまうものが多々ある。

今年に入ってからだと「Maison Margiela(メゾン・マルジェラ)」2020S/Sを意識したであろうGFRIEND(ヨジャチング)。

このシーズンはTwitterでも投稿したようにこのルックを着用したモデルが発表当時、非常に話題となった。彼女たちの衣装にあまり指摘が入らなかったのが正直不思議だった。

 

そして本当に多く見かけるのが「Dior」を意識したであろう衣装の数々。

都度ツイートに残している訳ではないし、そもそも私が把握していないものもたくさんあるはず。それにしてもK-POP界はDiorが好き過ぎる(男性アイドルのグローブが増えてきたのもDior 2020F/Wの影響なのかなと思ったり)。

 

現在のDiorメンズは2019S/Sシーズンよりルイ・ヴィトン(メンズ)のアーティスティック・ディレクターを務めていたキム・ジョーンズが手掛けており、このデザインは2019F/W、2020S/Sとシーズンをまたいで登場している。

 

「オマージュ」*1という言葉で片づける人もいるかもしれないが、「パクリ」と呼ぶ人もいるだろう。個人的には衣装を見て「あるブランド」「あるシーズン」「あるアイテム」が思い浮かんだものはほぼ「黒」だと思っている。

 

 
 
 
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SEVENTEENが昨秋からのワールドツアーで着用したこの衣装。ドギョムくんのジャケットはDior 2019F/Wにも登場した形に似ているのだが、スングァンくんのジャケットのタイプは2020S/Sシーズン(2019年6月発表)にしか登場していない。

 

nowfashion.com

 

よって、売り出される前のアイテムとそっくりのデザインをオリジナル衣装化していることになる。他者のデザインをほぼそのまま衣装にしてしまう点はもちろん、この時期の「スピード違反」にも非常に危うさを感じる。

 

噛み砕いた言葉でこの現象を説明すると、

ブランド「これ半年後ぐらいに発売するからよろしくね~」

と、デザインを発表したものを

K-POP「あ、それ良いね!衣装にさせてもらうね!」

と発売前に衣装にしているのだ。おそらくここで許可なんてものは取られていないであろう。ブランド側には何のメリットも生まれない。

 

衣装で同じようなことを行い過去にSNSで炎上したり、デザイナーから直接お怒りの指摘を受けたK-POPグループもある。「売り物ではないから許される」とは言えないだろう。

流行の最先端を走り、新たな流行を作っていくK-POPアイドルの衣装を制作するにあたって、海外のファッションウィークをチェックするのは必然と言えるだろう。そして何かを参考にするという流れも当然と言える。どこまでが「参考」でどこからが「パクリ」なのかを定義するのは難しい。しかし、当たり前ではあるが海外のファッションウィークやブランドは「オリジナル衣装のカタログ」ではないのだ。

 

K-POP全体がそうだと思われないように書き足しておくと、正式な形で発売前のアイテムを着ているK-POPグループも存在する。ブランドとそこまでの関係を築き上げるのは非常に困難なものだと思うが、これらの行為はそのわずかな可能性を潰してしまうのである。

 

そして、このような行為とグループそのものに対する評価は切り離して考えられるべきと思うが、世の中そのようにはいかない。どうしてもグループに余計なイメージが付いて回ることになるのだ。どうか、そのような事態を招かない為にもオリジナル衣装を制作する際には今一度考えて欲しいものだ。

 

*1:「尊敬」や「敬意」を表すフランス語。ある作品に影響を受け、似たような作品を作ること