Nihilismus

SOKO NASHI NUMA

ソウルファッションウィークが開催されないのでエア開催しようか

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本来でしたら今日3月17日より*1「ソウルファッションウィーク 2020F/W」(以下SFW)が開催される予定でした。

例に漏れず新型コロナウイルスのため2月14日に開催中止が発表され、2015年10月より毎回3月と10月に取材してきた身としては寂しい3月を過ごしています。

 

ただでさえ露出が少ない韓国モデルたちの貴重な活躍の場(収入源とも言う)が無くなってしまい、韓国モデルオタも餓死寸前のはず。というか元々数が少ない界隈なので絶滅寸前とも言えるかもしれない。1人でも多く10月まで生き延びるべく、自粛の嵐のなか話題になった「エア○○」とまではいかないですが、今まで小ネタ過ぎて書けなかったあれこれを書いてみようと思います。

 

まともに太陽光を浴びない一日

その日最初のショーが10時スタートだとすると、いつも1時間前には出勤していました。5日間の期間中、毎日えっちらおっちらと重い機材を持って出勤する。SFW中はいつも近くのホテルに滞在しているけどそれでも出勤だけで疲れる体力無さ過ぎ人間。

 

プレスルームに出勤するとまず作業場所を確保する。その日のゲスト一覧をチェックして、ひとまず休憩(2度目の朝食)。そして準備に取り掛かる。SFWのスケジュールはショーとショーの間が開いても1時間半程度。プレスルームと一番大きなホール、地下駐車場の会場、屋外の特設会場その行き来だけでもそれなりの時間がかかる。それが21時前頃まで続くもんだから、気づけば太陽が沈んでるなんて日もある。他のファッションウィークでは街中の様々な場所が会場として使われるけど、基本的に東大門デザインプラザ(DDP)のみで行われるSFWならではの現象。

 

作業が溜まって来ると昼食の時間さえ惜しくゴンチャで済ませてしまうこともある。ちなみにプレスルームが飲食物持ち込み禁止でコーヒー1杯さえ持って入れないシーズンもあった。レッドブルのお姉さんが入ってきて、プレス陣が異様な盛り上がりを見せた時もあった。

 

ちなみにショー会場は現在も持ち込み禁止なので、もし今後行く機会があればくれぐれも「コーヒー片手に優雅にファッションショーを見よう」なんて考えはやめていただきたい。…そんな人いないか。

 

何も信じられない

先程書いたようにプレスルームにはゲスト一覧が貼りだされるのだが、とにかく信じられない

 

・一覧に名前がある人が来ない

⇒キャンセルなのだろうが、超大物の名前が書いてあって構えていたところ、その人物が来ないという事が何度かあった。もしやゲスト一覧はウィッシュリストなのか…?

・一覧に名前がある人が来ない2

⇒アイドルグループだと一覧に名前があるメンバーと違うメンバーが来たりする。誤った名前のまま記事化してしまうメディアも少なくない。なので、基本的にTwitterでファンの方の情報を確認してから出すようにしている。いつもありがとうございます。あと事前にこまめに検索かけて地道にペンカフェの情報を集めてざっくり来場ゲスト情報を把握していたりする。

・一覧に名前がない人が来る

⇒これがあるので、むやみに「このブランドのショーはパスしようか…」と思えない。まあそれはこちら側の問題なので良いが、全体にも影響していてアーティストの席が無いという事もあった。そこは…ちゃんとしておいてあげて!

・解散したグループ名が書かれている

⇒これはもう何も珍しくないパターン。昨年10月の2020S/Sでは「UNB」が存在した。嬉しい(違)

 

絶対に負けられない戦い

 

SFWと言えば絶対に負けられない戦い。様々な戦いが存在する。

人気アイドルグループが来場すればいわゆるマスターの大群がやってくるし、その時々で話題の人がやって来れば韓国メディアが集結する。内部フォトウォールなんて少ない時はオフィシャルと私しかいない事もあるのに(何ならそれまでいたオフィシャルが何故か居なくて私が仕切らなければいけない時もあった。オフィシャルどこ行った)、気づけば人で溢れかえっている事もある。

 

SFWに出席した芸能人の写真や動画を見た事がある方ならわかると思うが、フロントロー(最前列)に着席したその瞬間からゲストは「無防備」になる。すぐ後ろにマネージャーなどが座っている事もあるが、次から次へとやってくるメディアをただ座ってひたすら拒まずに受け止める。自称「演技者」が突然芸能人の横に座りインタビューを始め、そんな乱入者にもなんとか笑顔で答えていたこともあった。*2

 

メディアはプレスパスを身につけているが、身につけていないマスターは突き返される。しかし悪態をつきながら何度も戻ってくる。これを愛と呼ぶのだろうか。そんなセキュリティとマスターの攻防はついつい見入ってしまう。見入れる時なら良いのだけど、打ち勝たなければ(?)いけない時もあるし、こちらの予想をはるかに上回る作戦でやってくる事もある。その話はまた「マスターびっくり事件簿」の機会に。(開催時期未定)

 

それでもやっぱり

色々あるがやっぱり私はSFWが好きなのである。

韓国モデルが好きだし、韓国のデザイナーズブランドももちろん好きだし、客入れ前の静かな会場、ショー開始に向けて慌ただしく動くスタッフ、“チョンシンオプソ”な人しかいないバックステージ、日本人の私には到底理解出来ない韓国のカメラマンの見えない序列。その全てにワクワクする。

 

来場ゲストを撮る人(日本でいうスポーツ紙のカメラマン的な)、ショーを撮る人(ファッションメディアのカメラマン)、アップ作業をする人と役割が分かれていることが基本である。私の場合、フォトウォールを撮り、隙を見てフロントローでもゲストを撮り、そしてショーを撮り、プレスルームに戻りアップ、ブランドによってはバックステージも取材という一連の作業を1人でやっていました。誰かに強制される訳でもなく、自らの意思で。自分で段取りを考えて時には失敗したと後悔し、学びながら動くことの楽しさ、幸せを一番感じられる場所です。大学時代にこれを経験してしまったから、今私はフリーランスとしてダラダr…日々過ごしているのだと思う。

 

ここ最近のSFWは「人に撮られたい人が集まる」イベントの要素が強くなってしまったけども、本来は「韓国で活躍するデザイナーたちの最新ファッションの発表の場」であることを改めて記しておきたい。日本人でもチケットを手に入れる方法は存在します。是非一度、中に入ってファッションショーをその目で、何の液晶も通さずに見て下さい。

 

最後の最後にあやふやな事を書くのはあれかもしれないけど、確か山本耀司さんの発言で。若者によくファッションショーを見ていますと言われる。でもそれは嘘だと。そんな若者がYohjiのショーを見れる訳がない。写真や映像で見ているだけだと。それはショーを見たことにはならない。それならとにかく一度会場にまで来るようなことをやってみろ。

…というような内容を話していたインタビューを読んだ記憶がある。出典も何も思い出せないから何の説得力もありませんが、本当にこういう心意気は大事だなと思います。何事においても。

 

*1:オフィシャルでは16日になっていますが本格的にショーが始まるのは2日目からというのが通例

*2:その後自称「演技者」は無事につまみ出された